ワーカホリックな雰囲気がにじみ出る

だから実感が湧かないのか、それとも自分が関わった経験がないからかもしれない。それなのに、見ただけでひどく動揺する位、どこかが敏感になっていて、どこかが鈍くなっている気がする。

そんで現実味の無いふわふわとした雲の上を歩いている感覚がずっと続いている。俺は座布団を枕に横になった。しばらくして、遺影にする写真を探しに行っていた姉が戻って来る。

手続き読んだけど、住所とか分かんなくて、ちょっと慌てたと伝えると、「そう」と一言だけ答え、写真を何枚か広げた。

仕事中、ゴルフ、慰安旅行か。定年前のものだろう。一覧を見ながら、どれにする?と聞かれ、何か社内で表彰された時らしいものを指した。姉も同意見らしい。

誇らしげに賞状を持ちこちらを見ている。薬品会社の営業部長だった父の、いかにもワーカホリックな雰囲気がにじみでて、きっと一番輝いていた頃。うん、そうだこれがいい。

中でも特に重要な作業を終える。俺には父と過ごした記憶があまりない。姉も同じだろう。